なぜ今、MBDGsなのか?ー 世界が見落としてきた“人間の根っこ”と向き合う教育へ
今、世界が気づき始めています。「人間の内面こそが、未来を変える」と。
この記事では、MBDGsが「今」必要とされる理由を、時代・国際・教育の流れから解き明かします。
Contents
1. 目を覚ましはじめた世界
― UNESCOが提起した「リーダーの倫理なき社会」
「未来の教育のあり方は、倫理的リーダーの育成にかかっている」
2021年、UNESCOは『未来の教育に関する国際委員会報告書』の中で、こう提起しました。
“The world is facing a crisis of leadership. Not a crisis of intelligence, but a crisis of ethics.”
— UNESCO, Reimagining our futures together, 2021
戦争、環境破壊、格差拡大…。私たちは「知っている」けど「変えられない」世界に生きています。そこに欠けているのは、知識ではなく人間の“あり方”です。
OECDは2015年に「教育の未来は非認知能力にある」と発表しました。
“Skills for Social Progress: The Power of Social and Emotional Skills”
― OECD, 2015
「やる気」「自己肯定感」「共感性」「レジリエンス」――これらはIQでは測れませんが、人生や仕事の成功を大きく左右します。
ただし、非認知能力は「教える」のではなく「育てる」もの。ここに、“どう育てるのか?”という問いが生まれています。
3. 社会のひずみが示す「内面教育の不在」
日本でも世界でも、「自己肯定感の低さ」「生きづらさ」「他者信頼の欠如」などの問題が深刻化。
SNS時代の比較疲れ、アイデンティティの揺らぎも拡大しています。
これらは、「人としての根っこ」が育まれていないことの表れです。
つまり、MBDGsのように「自分自身を軸に生きる力」を育てる教育が足りていないのです。
4. なぜMBDGsなのか――“人間の土台”を育てるアプローチ
MBDGs(Mind-Based Development Goals)は、「人間の内面の成熟を社会的成果につなげる」ための教育フレームワークです。
- 単なるマインドフルネスではなく「存在の理解と自立の設計図」
- 他者や社会と関わる中で、自分を活かす力を育てる
- グローバル課題に向き合うための“人間力の地図”を提供する
世界が探していた教育は、実は「人としてどう在るか」から始まるべきでした。MBDGsは、その答えの一つを提示しています。
5. “心を育てる教育”が届かなかった、本当の根っこ
SELやEQ教育など世界中に試みはありましたが、多くは“外からの働きかけ”に留まり、
人の内側にある「自己存在感(=自分がここにいてよいと思える感覚)」には十分届いていませんでした。
MBDGsはまさにその「根っこ」に働きかける教育。
心の表面を整えるのではなく、「自分を生きる意思」そのものを育てる実践です。

