【セミナー報告】これまでの育成方法が通用しなくなるとき、大人は何を見直すのか
育成の現場にいると、
“良かれと思って続けてきた関わり方” が
いつの間にか今の時代と噛み合わなくなっている瞬間があります。
昨日のセッションでは、
そんな「見えないズレ」を、参加者の方々が静かに、でも確かに自覚していく時間になりました。
誰かを育てる前に、自分の内側の前提をそっと見直してみる。
その小さな姿勢の変化が、育成の質を根底から変えていくのかもしれません。
セッションで見えてきたこと
昨日のセッションでは、まず自分自身の育成スタンスを診断し、可視化することから始まりました。
普段どんな言葉を選び、どんな期待や不安が相手への声かけににじんでいるのか。
それは意識しているつもりでも、実際には無意識の癖として表れます。
参加者の方々がその“癖”と向き合う姿勢は、とても静かで誠実なものでした。
アンケートには、
「今までの育成方法から抜け出す必要性を感じた」
「自分の“いたらなさ”を見つめる機会になった」
「長年の自分の指導を数多く思い出す機会になった」
「キーワードが整理され、分かりやすかった」
「自分の事例とつながったのがよかった」
受講者アンケートから抜粋
といった声が寄せられました。
しかし、私は、皆さんから挙がる声の中に、今、渦巻き始めた「混乱・葛藤」のようなものが感じられました。
「何十年間も、自分が正しいと信じていたやり方を見直す」というのは、言うほど簡単ではありません。
「自分に向きあう」「自分をアップデートする」、というのは、経験をたっぷり積んだ大人にとっては、無意識に重さを感じることです。
でも、昨日ご参加くださた皆さんは、そこにご自身で飛び込んでくるような方でした。
だから、「混乱・葛藤」が、次第に、「希望・未来」を見据える言葉に変わっているようでした。
ただ、「希望・未来」が「現実・具体」へと続く道に、「習慣・落とし込み」という壁があり、ここで途切れるケースを、私は数多く見てきました。
時代の変化と、育成の“転換点”
今の若い世代の価値観は、10年前とも大きく違います。
自己評価の揺らぎ、社会への不安、選択肢の多さ。
そして「外側を整える前に、内側が整っていること」が求められる時代でもあります。
育成者がまず押さえるべきなのは、
相手ではなく、自分の前提が時代に合わせて更新されているかどうか。
そこから、関係性のつくり方も、声かけの質も変わっていきます。
具体的なアクションへ
セッションでは、明日から使えるアクションも整理しました。
最後に、育成者自身が日常的に使える
視点整理シート・問いのツールも配布しました。
育成は、相手の変化に合わせて、育成者自身も“あり方”を更新し続けるプロセスです。
その循環が生まれたとき、チームも組織も動き出します。
これからのつながりへ
今回のセッションは、育成スタンスを見直すための入口にすぎません。
今後は、より深いケーススタディや、現場の変化を共有するなど、継続して学べる場を用意しています。
人が育つための環境は、一度つくれば終わりではなく、更新され続けるもの。
そのプロセスをご一緒できればと思います。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。

